May 1, 20:00　　　　
AT Royal Host Sakura-shinmachi

岡本
展示をやるとしたら、“デザイン”の展示にするのか、“デザイナー”の展示にするのか。金属溶接は目的がかなりあるから、デザインって感じがする。

王
プロダクトも情報伝達をする1つの媒体になれるのかなと思って。例えば、キューブは6つの面があって、その面と面の関係で、何かのメッセージが出るのかなと思います。1つのキューブを見る時は、全ての面を一気に見ることができない。

「見る面が変わったら、メッセージも変わる」という感じですね。なので、プロダクトもメッセージを伝達する媒体としては全然いいのかなと思います。

いまは「いま」の時代のグラフィックデザインがきていて、伝達する媒体は昔と結構変わってきたんですね。紙媒体は減っているし、スクリーン媒体は圧倒的に多くなっていて、媒体について考えるのもすごく面白いなと。

乙辺
デザインが目的になった場合、鑑賞者と作品という関係性になってしまうからデザインに参加できない。でも、何かの媒体になることで、グラフィックデザインに参加できる人が増えるってことですか？　このあいだのメモを見返していたら、「来た人も参加できるグラフィックデザインの形」って書いてあって。

王
さっきのりゅうくんの作品もそうですし、プロダクトでもお客さんが参加できますね。その立体のものをどうやって見るか。自分の手で回したり、押したりそれも参加という手段ですね。「参加」というキーワードはいいですね。普通のポスターだと、もう全然参加してないです。情報を一方的

に見させられている状態ですね。

例えばゆいさんのポスターは、UVライトを当てないと見れない情報があったり。それも参加の1つですね。グラフィックデザインはこれからも多分いろんな媒体に行くと思います。なので、今回の展示では、まずは「紙」という媒体をこだわらず。

参加者をグループに分けて、紙を使わないグループと、紙をめちゃくちゃ使うグループとか。

岡本
素材はなんでもよくて、テーマのところが定まっていれば、何を使ってもいいと思う。

グラフィックデザイナーをテーマにするんだったら、それぞれが好きに準備して、面白い人がいっぱいいるよって、そういう幅を見せる展示になるし。グラフィックデザインっていう行為を定義するっていう方向の展示にするなら、また変わるなーと。

栗原
デザイナーが目的のほうがいいのかな？　仮に、デザインがテーマになったとして、みんなで同じ定義の中でやるとなんかちょっと怖い気がする

乙辺
前回話していた1人ディレクターが立って、その人の指示のもとで作品作るっていうのは、デザインがテーマになるってこと？

栗原
捉え方次第でどっちにでもなりそう。　でも、デザイナーをテーマにしてとして、好き勝って作る感じもちょっと違うのかな。

王
あるいは、作る人が自分でデザイン定義するとか。デザインというテーマなんだけど、でも定義は人それぞれ。自分の解釈でデザインをどう思っているのか、作品でみなさんにに伝えたりして。

岡本
結局そこに行くから、さっき僕が言ったあの2つを選択しても全然意味がなかった。

なんとなく来た人が、それぞれ解釈の異なるグラフィックデザインについて触れて帰ってもらえたらすごく面白いですけど、例えば10組がグラフィックデザインってテーマをただ与えられて勝手に作って、グラフィックデザインとは？みたいなテキストがそこにある作品がただ並んでるとか。それはちょっと面白いかもしれないけど、展示としてはあんまり。だから、もうちょっと考えなきゃいけない。

王くんが言っていた、リーダーを決めて、ディレクターとデザイナーっていう立場になって、それぞれ入れ替わって作るっていうのは、それぞれの役割/領域がはっきりしそうですね。

ディレクションっていうことと、デザインっていうことの領域の曖昧さみたいなのは、結構仕事しててもすごい感じるし。個人的には。だから、すごい面白いなと思って

個人のデザイナーってディレクションとデザインを1人の中でも請け負うから、それをあえて分離する。個人でデザインの仕事してる人を10人集めて、無理やりそういう形式にしたらしたら、面白いなーって。

王
例えば1つのグループに3人いて、1人はアートディレクター、他の2人はデザイン、で、またチェンジする。他の2人もアートディレクターになって。参加者はデザイナーとしても作品を作るし、アートディレクターとしても作品を作る。

岡本
それ、面白いよね。12人集めて3人ずつ4組とかに分けて、あっ、でも見え方気持ち悪くならないかな？　この分け方はなんなの？って。マジのランダムにするとか。

栗原
ランダムのほうがいい気がする。けど、説明がちょっと難しそうだね。

岡本
最初の組み分けをそもそもランダムにするっていう時点で、ちょっと混乱しそうかな。1回ずつ区切って、作品作るんだったらまだわかるけど、その中でローテーションして3つ作るってなると、ランダムに仕切り直したくなる。3人がちゃんとチームっぽく見えるのもなんか変だし。

このシステムやる場合は、全員でローテーションして、ひとかたまりでやったほうがいい気がする。

王
確かに。じゃあそうしたら5人ぐらい？

岡本
5人展で、5作品がわかりやすい。でも、それだと規模が小さい感じはする。

シェフのよくばりサラダ

栗原
これ、ちなみにどういう人に見てもらいたい？

岡本
同世代のグラフィックデザイナーもそうだし、下の世代、上の世代でも。基本は同業に向けたってイメージがあった。どうですか、みなさん？

乙辺
ある程度、デザインへの理解度もある人が対象になる？

栗原
じゃないと結構難しい気がしていて。まず、アートディレクトとグラフィックデザインが、何が違うんだろうってなっちゃいそうだよね。

岡本
逆に言うと、わかる人がいてくれることを考えて、そんなに解説っぽくする必要はない気はする。目的としては、グラフィックデザインを広めようみたいなことより、見た人がやる気

が出てくれればいいんじゃないですかね。

王
具体的な目的がなくても、ルールだけを作って、ルールに従って作った作品を展示するだけ。スタートのところがあって、どうしてこのアイデア/考え方にたどり着いたのをちょっと説明したりして。で、その後の話というか、この展示をするのも目的っていうか、もう本当に何かを探りたいっていうわけでもないし。

岡本
だから、目的は別に設定しなくてもいいと思う。

王
そうですね。目的があったらすべての線がまた1つの線になってしまうというか。

岡本
単純に、10組のデザイナーの「グラフィックデザインとは」っていう考え方とちゃんと対峙する機会になるっていうことは結構大きいと思います。

編集者の杉田さんもここから合流します。編集者の杉田さんもここから合流します。編集者の杉田さんもここから合流します。編集者の杉田さんもここから合流します。

（全員）
お疲れ様です。

杉田
どうもありがとうございます。

岡本
展示のなんかテーマ的なものをちょっと考えようっていう。でも、そんな明確な目的はなく、単純に同世代のデザイナーの考え方が並列に並ぶってことでも印象に残りそうかなーって。

栗原
声を上げる。こう考えてます、みたいなものを言うことで。

岡本
そもそも、それをやってる人いないから。

王
この結果は目的がないこその「多様性」。いろんなものが出る可能性になる。

栗原
確かに。グラフィックデザインをこうですって言いたいわけじゃなくて、みんなが何を考えてるかっていうのをただ言える場所がいいなって。

王
今は1つのルールをちょっと見つけたりして。ルールは必ず何かを「伝達」する。

岡本
そうだ、そこに、デザインっていうものの定義がちょっと入ってくると思う。それで縛るっていうことではなくて。

王
制限がないと、もう本当にファインアートになってしまう。

岡本
イラストレーションと、ファインアートと、グラフィックデザインの境目は、ちゃんと決めてかなきゃいけなくて。

王
自分の認識だと、「わかりやすさ」ですね。グラフィックデザイナーが作った作品、自主制作もやっぱり分かりやすい。何を言いたいか、伝えたいことというか、テーマというか、すごくわかりやすい。そして、行為の目的とかもすごくわかりやすい。

でもファインアートだと、わからないことのほうが多いですね。自分の理解と、アーティスト本人と違うときも多いし、そもそも、そのアーティストは何も表現したくない。ただただって描いてって、いろんな人の解釈がでる。それも面白いんだけど、これはちょっと境目かなとは思って。

岡本
それで言うとさ、井上嗣也のアートワークあるじゃないですか。写真を使って、一応テキストとか載ってるけど、あれを見た時、かっこいいけど意味は全然わからなかったですね。ってことは、グラフィックデザインではないのかな。もしかしたら。

王
うーーーーん。

グラフィックデザインの目的は情報の伝達です。情報をいかにわかりやすく、受け入れやすく伝達するためにグラフィックデザインがある。グラフィックデザイナーのみなさんは自分の認識で、情報を咀嚼してるんです。情報をグラフィックデザイナーが食べて消化して洗練されたものを出す、みたいな感じ。

栗原
確かに。ポスターを作るときも重要な情報と、小さくても良い情報がある。自分で処理して考えて、見やすくするのがグラフィックデザイン。アート作品みたいに見て感じてください！じゃなくて、私たちからこうですっていうふうに提示するのが重要。

岡本
2019年のこれとかね。これは写真だからグラフィックデザインではないってことなのかな。

杉田
井上さんの肩書きはグラフィックデザイナーなの？

岡本
多分。

王
なんていうか、本当に正解がなくて。もしかしたら井上さんに頼む人は、その雰囲気が欲しいだけかもしれない。

岡本
ポスターのは通販サイトがあって、そこで売ってる『The Burning Heaven』はgggの展示ポスターになってるから、これはきっとグラフィックデザイン。

杉田
平面のこの写真とかは、情報ではない？

王
いや、なんというか、わからないところも情報の1つなのかなと。れもこれで1つの情報になっているし。

岡本
中村至男さんのこれはね、りんごが2つで双子っていうのは、ここに関連性が生まれていて、ある種、その説明をしているじゃん。

栗原
至男さんはそうかも。なんかヒントがあったり。

岡本
さっき言っていたわかりやすさっていうところが担保されている。なんかかっこいいけど、別に目的はなくて、明確な意図とかはわからない。この状態だと、ファインアートっていうか、イラストレーションになるのか。

杉田
わからないってことも大事な情報な気がする。わからないから自分でわかろうとするみたいな。広告とかグラフィックって、買わせるとか、何か行動変容を起こすためのものだから。

岡本
ギャルソンの広告もまさにそう。ぱっと見わからないけど、そのわからなさにすごい引きつけられる。

栗原
ギャルソンがブランドとして確立されてるから、ここまで飛ばしても大丈夫みたいなことなのかな。

王
そのわからなさを出したいために、こういうものを作ってもいいけど、でもその時はわかるものが欲しいですね。例えば、ロゴとか。他のちょっとだけの情報というか。形でもいいし、文字でもいいし、言葉でもいいし。

乙辺
3人は、これはわからないを求めて作ったものなのか、何も目的もなく、ただただわからなくなってしまった状態のものなのかっていうのは、見た時にわかるんですか？

岡本
いや、僕はそれがわからないから、諦めてるの。自分も意図的に何も考えないで、考えてる風のものを作ることもあるし、それはちょっと見てる人を試すような気持ちで、わざとそういうことするから。結論、僕はわからない。

王
でも、その試す行為も面白いですね。

岡本
だから、王くんが来てくれた展示もそう。ちゃんとコンセプトはあるんですけど、結構適当なドローイングを書いて、Tシャツとかにしていて。

見た人が適当に見えるっていうところと、ちゃんと自分なりに意味はあるけど、その意味をわからせようとして書いてるわけでは全くないっていう。その、中間を狙っているんですよね。それはグラフィックデザインなのかって言われるとどうなんだろうって、今思ってきた。

（作業中）